忘れ物は色っぽい

他人の忘れ物が好きだ。「取りに行くよ」と連絡を受けるのも良いし、「忘れてるよ」とこちらから連絡をするのも良い。相手が取りに来るのを待つ時間も好きだ。忘れ物は相手の隙を感じるから、色っぽいのだと思う。ただ、私を訪ねてくる人は注意深いので、あまり忘れ物をしない。もうちょっとウッカリしてくれても良いのだけれど、だからといってお願いするわけにもいかない。

カフェで見知らぬ人の忘れものを見つけることもある。パソコンのアダプター、ハンカチ、傘、買ったばかりのものが入った買い物袋。店員に届けながら、持ち主が見つかるといいななんて考えている時間は平和である。

ところで私は忘れ物をしないかというと、結構する。一番慌てたのはパスポートで、手元に無いとわかったときは部屋中を引っ掻き回した。まさかと思ってとある場所に電話をかけると、「パスポートは今こちらで3つ預かっています。お名前を伺ってもよろしいですか」と聞かれた。3つ!私のパスポートは無事に戻ってきた。残りの2つが持ち主のところに届いているといいのだけれど。

最近はピアスを忘れてしまうことが多い。大抵の場合はジムで見つかるのだけれど、それでも片方だけになってしまったピアスが幾つかある。実は私は、ピアスこそ慎重にならなければならないと思っている。松任谷由実の「真珠のピアス」という曲のせいだ。これはある女性が恋人のベッドの下にわざと片方のピアスを落としていく曲で、一見恋人同士の戯れのように思えるけれど、実際はもっと恐ろしい。彼が近々新しい女を連れて引っ越してしまうと知っているから、彼女はあえてピアスを落とすのだ。ううむ、怖い曲だと思っていたら、私の友人がこの曲と全く同じことをしたと知って鳥肌が立った。今のところ、彼女は無事である。彼女以外の人達のことは・・・知らない。

忘れ物は、色っぽいと思えるくらいにしておきたいなぁと思う。

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