台湾の風景

休暇中に台湾へ行った。息抜きしたい気分だったので、近場で治安が良く、食事が美味しい国がいいと思った。台湾はまさしくそのニーズを満たしている。思い立った二日後には台湾に飛んでいた。

勇んで故宮博物館へ向かったところ、バスで酷く酔ってしまった。加えていつもの癖でたくさん歩いたので、初日の夜はヘトヘトだった。海外に来たからといって観光しなければならないわけではないのに・・・。

そういうわけで翌日から過ごし方を変えた。予定はマッサージを受けるだけにして、それ以外はそのときの気分に任せた。台湾は街を歩くだけでも充分に楽しめる。モダンなカフェやレストランもあれば、中国ならではの器を扱う骨董店もあった。雑居ビルの多くは古く、廃れた看板ひとつひとつに趣がある。看板の言葉はもちろん中国語だけれど、この言語の良いところは文字を読めば意味が推察できることだ。「修改衣服」は服のお直しかな、とか「養髪館」はヘアケアのことだろう、とか。日本語で書かれていることもあった。居酒屋「いいとも」とか。外国で見かける日本料理の店の名前はどれもユーモアがある。

夜市は屋台の種類がとにかく豊富だった。驚いたのはエビ釣りで、ビニールプールで泳いでいるエビを釣ったらその場で焼いてくれるのだという。強烈な匂いを放つ臭豆腐、カットされたフルーツ、肉や魚の煮込み、肉まん、ワンタン麺。意外なことに一番人が集まっていたのはエリンギの炭火焼きだった。私が気に入ったのは大根の入った揚げ饅頭と、豚肉と野菜を炒めたものを薄いパンで巻いて甘辛いソースをかけたものだった。どれも百円から三百円くらいで買えてしまう。士林の夜市は規模が大きく、射的などゲームの屋台も多い。それも毎日深夜までやっているのだ。台湾で暮らしたら夜型になってしまいそうな気がする。暑い国の宿命だろうか。

台湾は日本資本の店も多く、完璧な異国感がない。そこがまた不思議な感覚を呼び起こす。遠くに行きたい、けれどそこまで遠くなくて良いと思ったとき、また台湾に行ってみたいと思う。

This entry was posted in Essay. Bookmark the permalink.

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。