平和なクリスマスを求めて

私にもかつて、少女と呼ばれる時代があった。だからクリスマスには、「おしゃれをして」「豪華なディナーを食べて」「イルミネーションを見る」という3点セットを揃えたくなったことがある。隣にはもちろん、プレゼントを贈ってくれる優しい恋人がいる。ファッション誌を真面目に読んだりすると、こんな考えが一度くらいは頭に浮かんでくるようになるのだ。しかし実際その通りに過ごしてみると、典型的(商業的と表現するほうが的確かもしれない)なクリスマスというものがそこまで素晴らしいものではないことに気が付き、我に返る。

クリスマス・ディナーは大抵の場合において割高である。ジュエリー・ショップのショーケースは事故でも起きたのだろうかと思うほど人で溢れていて、当然、自分の欲しいものをゆっくり探す余裕なんて無い。イルミネーションも同様である。あんな落ち着かない場所では、良い雰囲気に浸るどころか気力と体力を消耗するだけではないだろうか。そう、私は人混みが苦手なのだ。それに気がつくまでに何回、典型的(あるいは商業的)なクリスマスを過ごしたことだろう。ジーザス・クライスト!

では、いかにしてクリスマスを平和に過ごせば良いのだろうか。もちろん家で大人しくしているに越したことはないのだが、それも気が進まないという場合はイルミネーションで客寄せをするような場所を徹底的に避けることを勧める。可能であれば路線自体も避けたほうが良いだろう。六本木やら桜木町やら、電飾の匂いがするような場所とは程遠い、「安全な街」へ行くのである。

昨年のクリスマスは神保町で過ごしたので、ここ数年で最も心安らかなクリスマスだった。三省堂本店のカフェで淹れたてのコーヒーと甘いワッフルを口に運びながら、買ったばかりの本をめくる。店内には私のように、ひっそりと読書を楽しむ数名の客しかいない。天国だ、と心の中で拍手喝采した。

いつか、クリスマスというものは、安心できる時間の過ごし方を追求するための日として自分の人生に定着してしまうような気がする。

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