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さあ、バナナライスを作ろう

立派なバナナをたくさん手に入れた。バナナは大抵朝食に食べるのだけれど、これだけあるならケーキにしても良いかもしれない。蒸しパンにしても美味しそうだ。

そこまで考えてから手が止まった。

ケーキ?蒸しパン?いつからそんな凡庸な手段で満足する女になってしまったのか。私は自分が嫌になり、新しい料理に挑戦するべく、ひたすら思いついた言葉を検索してみた。

そこで辿り着いたのがバナナライスである。

広い世界、バナナライスという奇抜な料理があってもおかしくない。きっとインドか、アフリカあたりに存在するだろう。遠い国から新たな知見を得る姿を想像していたら、名古屋の「喫茶マウンテン」にバナナライスというメニューがあることを知った。名古屋。案外近い。

喫茶マウンテンと言えば食材の奇抜な組み合わせと異常な量で喫茶店界における不動の地位を築き上げた名店である。残念ながら私は一度も訪れたことがない。喫茶マウンテンでは完食することを登頂、残すことを遭難と呼ぶらしいが、ここのバナナライスはどれだけの人を遭難させてきたのだろうか。是非登山してみたいところである。

見たところ、喫茶マウンテンのバナナライスはバナナチップをチキンライスのうえにまぶしたものようである。これならパリパリとした食感が楽しめそうだ。さらに調査を続けると、なぜかSPAMのレシピサイトでバナナライスが紹介されていた。こちらのバナナライスは生のバナナを使用しているうえに、鷹の爪やカレースパイスを入れるなど何やら本格的である。

これまで収集した情報をもとに、自分流のバナナライスを作ってみることにした。SPAMは使わなかった。SPAMはどうも苦手なのだ。

フライパンで一口大に切ったベーコンをかりかりに炒める。油が出てきたら、刻んだ玉ねぎを加えて飴色になるまで炒める。恐らくこの料理は、野菜とベーコンから出てくる旨味と塩気を活かし、バナナの甘さを引き立てることが決め手になるだろう。炊いた白米を加えて混ぜ、ケチャップとガラムマサラで味付けする。鷹の爪も少々加える。全体的に分量は適当である。別のフライパンで軽くソテーしておいた薄切りのバナナを豪快に加え、一気に仕上げる。

恐る恐る食べてみたところ、意外な美味しさだった。スパイスの効いたライスとバナナの甘さが調和している。ケチャップはジャンキーらしさがあり、改善点も幾つか考えられるけれど、概ね狙い通りであった。

私だけ満足していても仕方がないのでシェアハウスの住人に味見させようと思ったところ、誰も帰ってこない。何か嫌な予感がしたのだろうか。しかしバナナはまだたくさんある。きっと食べてもらうチャンスがやってくるだろう。

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