波がやってくる。
うん、いいよ、と思う。
揺さぶろうとしても、抱きすくめようとしても、
私はラッコのように海藻にくるまって、
ぷかぷかと海に浮かんでいるから。
お腹が空いたら、海の底まで潜って貝をとるから。

3月までは何事もなく過ごせそうだったのに、
きちんと波はやってきた。
まだ大きさはわからないけれど、
親切なひとがひとまず教えてくれた。来るよ、と。

やれやれと、ラッコは思う。
こんな調子で波が来るなら、もっと気を緩めておかなくては。
あるひとに、海沿いに住もう、と言ったら、
仕事は都内だからなぁと現実的なことを言われて
それでもまだちょっと諦めきれない。

オーブンのある大きな家で、ゆるやかに人が住んでいて
広いリビングと書斎があって
ピザやらケーキやら焼いて（太りそう）。
数年後にはそういう生活をしている気がする。
今すぐは、確かにちょっと難しいけど。

一緒にオーブンの調子を見てくれるひとが必要。