横浜に帰る道すがら、村上春樹のエッセイを買う。
昼間は「チェ 28歳の革命」を観た。超人的な英雄としてではなく、あくまで地道な革命家として描かれていたことが良かった。
「尊厳の境界線を超えない限り・・・」という台詞でふと気づいた。私も境界線を超えない限りは与え続けるタイプだ。超えたら戦争。人間としては面倒なタイプだなと思うので、やはりひっそりと生きたい。
「事実は小説より奇なり」にはうんざりだ!と友人と話していたけれど、もう四年もあの家に住み、ナタリア・ギンズブルクに感化されたこともあって、デコボコな家族小説を書きたい気持ちになった。
試しに起きたことを書き出してみたら、あっという間に五千字ほど埋まった。けれど中身が生々しすぎるうえに、家人以外の人間に不愉快な思いをさせる可能性がある。名前を伏せたところで特徴が強すぎて特定されるに違いないし・・・。この家に住んだ人間が特別変わっているのではなく、誰もの人生が、事件に満ちているのだと書きたい。
大切なのは、センセーショナルなことではなく、そこに人間がいて、生活がある、という事実なので、それが損なわれないように書きたい。ギンズブルクのように、もっと年をとってから出すくらいがいいかもしれない。
形式上の夫は今、北にいるという。私も北へ行きたいけれど、明日は晴れたら南下して、海へ行く予定。