もう何年も前の話だから時効ということで書くことにする。以前、かなり変わったひとと仕事をしなければならないことがあって大変苦労した。私だけ苦労しているのかと思いきや、大先輩方もうんざりしておられるようだったので、割り切って仕事をしていたのだけれど、まあそういうことが重なるとただでさえ怖いと言われがちな私の顔が自分でもだんだん怖くなってくる。
で、いろいろと考えた結果、そのひとと対面しなければならないときは頭の中で陽気な音楽を再生しようということになった。定番曲は二曲あって、まず一曲目は私の世代の女性なら誰でも知っているであろう「ムーンライト伝説」。大人気アニメだったとはいえ、そんな何年も前の歌がパッと出てくるのか?と疑問に思われる方もいるかもしれない。けれどアニメとは偉大なもので、毎週見ていれば歌詞はしっかり頭の中に入っている。アニメを見ていた方は、是非歌いだしていただきたい。ごめんね素直じゃなくて・・・。ちなみに幼い頃聞き流していた歌詞も、大人になってあらためてじっくり聞いてみると沁み入るものがある。ハートは万華鏡。
さて、二曲目。これはもう少し新しい曲・・・と言ってももう十年以上前の曲だ。それも、「マツケンサンバ」。当時聞いたときは開いた口が塞がらなかった。一体どうしてこんな曲が生まれてしまったのか? 当時から日本は病んでいたのか。そんな考えが頭をよぎっても、イントロを思い出すだけで口元が緩んできてしまう。マツケンサンバ、会いたくない相手が現れたときの登場曲としては、群を抜いていると言っていいと思う。
結局それを続けた結果どうなったかというと、私が陽気な音楽を頭の中でちゃらちゃら流していることに誰も気づかないまま、相手のことを問題視するひとは増え続け、いつの間にかその方は退社されていた。アンガーマネジメントは成熟した大人が身につけるべき処世術だとは思うけれど、やっぱり変な相手には屹然とした態度で向かったほうがよかったのかな、と今振り返ると思わなくもない。まあ、かといって私は真っ当な怒り方については十年以上社会人をやった今でもいまいち自信がない。怒ると疲れるし、効果もそこまでない。まだまだ私も修行が足りない。
とりあえず今、日常にいらいらすることがある方は、この二曲を頭の中で再生することをお勧めします。うっかり歌い出さないように気をつけて。