今年の漢字は「令」だそうです。でも、それが選ばれたからといって何か良いことがあるのだろうか?とぼんやりニュースを見ていたら、どうやらアメリカにも”Word of the Year 2019”という一年を総括する言葉を選ぶ風習があるらしい。そんなものを選んで一体何の意味があるというのだ、ふん。
まあでもせっかくだから選ぼう。個人的に選出するなら今年は「音」だった。数えてみるとと、私が今年ライブハウスに足を運んだ回数は20回に及ぶ。音楽好きな人なら大したことないかもしれないけれど、年に20回もライブハウスに行くなんて人生で初めてだった。ヤクルトの試合だってこんなに行かない。ライブハウスの受付の方は、頻繁にチケットの取り置きをする私の顔と名前をしっかり記憶していた。すごいですね。
ライブハウスに行くのは親しい人がバンドメンバーだからというのが大きな理由だけれど、仕事や通信制の大学の課題をこなす中、ライブハウスに向かうのは親しい以上にその音楽を聞きたいからという理由が大きいと思う。今どき音楽なんてCDどころかインターネットさえあれば浴びるように聴けるけれど、それでも生身で聴く音楽は格別である。同じ曲でもパフォーマンスが違うとがらっと印象が変わって面白いし、何度も聴いて噛み締めたくなるような曲に出会うこともある。ステージの上に立って懸命に演奏している人たちを見ていると、創作活動について考えさせられたりもする。
私はゴテゴテのロックが好きで、10代の頃からブランキー・ジェット・シティやゆらゆら帝国ばかり聴いてきたのもあって「そのへんの音楽じゃ満足しないぜ」と最初は斜に構えていたけれど、ライブはいつも楽しかった。ステージに釘付けになっていると一瞬で過ぎてしまう。この「一瞬で過ぎてしまう」感じが心地よくて、今年はお腹を壊しっぱなしだった私にとっては大変ありがたかった。
CDの売上は年々減る一方、コンサートに足を運ぶ人は増えているらしい。これは個人的にとても喜ばしいことだと思う。楽しいものも、それを楽しむ人間も増える世の中であってほしいというのが一年の終わりに私がささやかに願うことである。来年は「悦」なんて漢字が選べるような一年にしたい。あるいは「燕」か「勝」かな。来年は良い一年になりますように。