何かを忍ばせていますか?お守り、恋人の写真、コンドーム、お金。差し支えないという方は、こっそり私に教えてほしい、と想う。
隠すことでもないので書いてしまうと、私自身、「下着に何かを忍ばせている人」のひとりである。粗塩を和紙に包んだもの(いわゆる持ち塩。原始的なお守り)をブラジャーの中に入れている。何故そうするようになったかは、長い話になってしまうのでまた別の機会に話すことにする。
変わっているかもしれないけれど、振り返ってみれば、私が触れてきた書物や映画において、下着に何かを忍ばせることはそう珍しくもなかった。
国民的漫画「タッチ」の南ちゃんは、新体操の試合で緊張を乗り越えるために、レオタードの中に恋人の写真を貼った。菊池寛の「真珠夫人」に登場する瑠璃子も、男性という生き物に対する復讐に燃えながらも、肌襦袢には想い人の写真を縫い付けていた。
写真以外だと、「デスノート」に登場した高田清美は、名前を書くとその人が死んでしまうという、恐ろしいノートの切れ端をブラジャーの中に入れていた。事情があるとは言え、ちょっと怖い例です。
可愛らしい例を挙げると、映画「ヴァージン・スーサイズ」に登場する少女ラックスは、好きな男の子の名前をパンティに書いていた。物質的なものではないけれど、そこには確実に何かがある。そのぶん、思われている本人が知ったらどう思うのだろうと想像すると、あまり可愛らしいとも言い切れないかもしれない。
さて、ここまで書き出して気付いたことがある。それは女性ばかりということだ。もちろん女性の下着は男性のそれよりも構造が複雑な分、何かを忍ばせるには持ってこいなのだろう。けれど男性の下着にもポケットのついたものがあるし、きっと私の知らない世界がそこにはあるはずなのだ。
ただもうひとつ気付いたことは、ほとんどの場合において「微笑ましいものが隠されているとは限らない」ということである。知らない方がいいかもしれないけれどそれでも気になる、それが下着の中に隠されたものが放つ、妖しい魅力なのかもしれない。