やさしいジャンクフード

先日、親友の結婚式に参列するためロサンゼルスへ飛んだ。式そのものも楽しみだったが、もうひとつおまけの楽しみがあって、それは「In-n-outのハンバーガーを食べること」だった。

以前アメリカに住んでいたとき、ハンバーガーと言えばIn-n-outのハンバーガーだった。日本人が想像するようなアメリカサイズのハンバーガーではない。手のひらサイズで、その代わりにぎっしりと具材が詰まっている。注文してから作られるので、パテはカリッと焼きあがり、トマトやレタス、オニオンは新鮮でぴちぴちとしている。メニューはハンバーガー、チーズバーガー、ダブルバーガーの3種類のみ。値段も2ドルから3ドルと安く、アメリカではかなり人気のハンバーガー・チェーンである。

ハンバーガーと聞くといかにもジャンクフードという印象が強いけれど、このハンバーガーは脂っこくなくてとても美味しい。ジャンクフードを食べたという満足感も得られるし、身体にそこまで悪いというわけではない。ジャンクでありながら、それはやさしい食べ物なのである。

ちなみに日本における、私にとってのやさしいジャンクフードは華正樓の肉まんである。これは蒸かしたものは売っていないので、冷凍のものを買って家で調理しなければならない。中身の肉には歯ごたえの良い筍が入っていて、ほんのりと醤油味が染みている。食べ慣れているからということもあるけれど、中華街で最も美味しい肉まんはこれだと密かに思っている。ただし、とても大きい。これひとつで軽い昼食くらいのボリューム感がある。1つ420円と聞くと些か高いように思われるかもしれないけれど、食べてみれば納得の金額である(しかしこの十数年で随分と値上がりした)。

これを食べたら次の日は運動をしよう、と決意せざるを得ないような、刺激に満ちたジャンクフードも楽しいけれど、やっぱり「たまにはこういうのもいいわね」と笑ってしまえるようなやさしいジャンクフードが、私は好きである。

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