昨日は久しぶりに、一文字も書けなかった。いや一文字もというのは間違いで、実は深夜に系統の異なった場所で書いている作品を四千字くらい書いたので、普段のペースからかけ離れているわけではないのだけれど・・・。小説が書けなかった。本当にこれは珍しいことだった。
朝起きて、悪夢から醒めたような気分で、けれど涙は一向に止まらず、頭痛も酷いので薬を飲んで結局夜まで寝た。一歩も外に出なかった。つくづく珍しかったなと思う。しかしまあ、そういう日もある。これが続くようだったら対策を考えよう、と思った。不眠と同じで、雨も嵐も、一晩くらいは(あるいは一日くらいは)迎えて、招き入れるというのが私の基本姿勢である。だってこれは人生なのだから。
今日は逆にさらさらと原稿用紙十枚分、小説を書くことができた。追加でエッセイの下地を書いて、あまりヒートアップするとまずいのでPCを閉じて村上春樹氏の「雑文集」を読み進めた。「安西水丸はあなたを見ている」を読んでくすくすと笑う。ここはスターバックスなのに・・・。まあいいや。
時間をかけることは悪いことじゃないと、他人に言うわりには、自分はどうやらそれを体現できていない。焦りスイッチが簡単に入る。スイッチ自体をカナヅチで粉砕してしまいたいのだけれど、なかなか難しい。時間をかけなさい、と小さな友人に辛抱強く忠告してもらうことで、今は生き抜くしかないのかもしれない。