ピルよ、ありがとう
生理痛に耐えるとき、人々はどんなことを考え、どんなふうに過ごしているのだろう。
私の場合は鎮痛剤を飲み、効き目が出てくるまで毎回決まって地球を割る妄想をしていた。とにかく痛みを拳にしてぶつけて地球を真っ二つにしつづけるのである。一体どうしてこんなことを考える人間になってしまったのだろう。
私の場合、生理痛は鎮痛剤の上限を超えて服用しないと日常生活が送れないほどだったので、医師と相談のうえピルの服用に踏み切った。ピルは人によって合わない場合があり、それがなかなか手を出せない原因でもあった。飲み始めは体がむくんだり耳を引っ張られるような感覚はあったものの、次第におさまっていった。そして生理にまつわるあらゆるトラブル――肌荒れ、のぼせ、気分の浮き沈み、身動きできないほどの腹痛――が緩和された。一番の驚きは経血量が減ったことだった。これまで自分の経血量が多い部類に入るなんて考えたこともなかったけれど、減ったことで身体への負担も減ったように思う。
こうして振り返ってみると、生理におけるあらゆる不調を我慢しすぎていたかもしれない。生理とは不快で、ただ耐えなければならないのだと思い込んでいたのだけれど、もっと早く婦人科に行けばよかったとつくづく思う。
そんなこんなでピルを飲み始めて4年が過ぎ、最近は生理が月に1度くることも苦痛になってしまった。ピルを飲んでいても痛みがゼロになるわけではないし、そのたびに頭のなかで地球を真っ二つにしてしまう。それに、生理のために予定をやりくりするのもなかなか骨が折れる。
そこで手にしたのがヤーズフレックスである。周期が読めないのが難点だけれど、最大で120日は生理と無縁の生活でいられる。120日!!どれだけストレスが軽減されるか考えると心が踊ってしまう。医学がさらに進歩して、もっと自由に、副作用やトラブルなしで生理をコントロールできる世界が実現してほしい。
ちなみに私はこれだけ生理で苦しみながら、生理休暇を使ったことが一度もない。周囲でも使っている人を見たことがない(もちろん気づいていないだけかもしれないけれど)。恥ずかしくないことだとわかっていても、やはり言い出しにくいものである。私としては、生理に限らず調子が悪い日は男女問わず気軽に休める世の中が理想である。そしてもし男女問わず生理がくる世界だったら、きっと今の世の中はもっと違っていたのではないかと考えている。